1. 各尺度の因子分析と下位尺度得点について
1-3. 対処行動因子分析
本研究では,立脇(2005)と同様に和田(2000)の恋愛関係崩壊時の対処行動尺度の20項目を現在形に変えて使用した。立脇(2005)でも因子分析が行われており,『話し合い』『同調』『一方的主張』『回避』の4因子が見出されているが,因子名だけが記載されており具体的な因子構造の記載がなかった。そのため,因子構造を調べるために因子分析を行うこととした(最尤法プロマックス回転)。その結果,「1. 問題を無視しようとする。」「2. 相手の言うことに耳を貸さない。」の2項目は複数の因子に負荷量が高かったため削除したところ,5因子解を採用した(Table8)。
第1因子は「20. 納得のゆくまで互いに話し合う。」「8. 二人で解決策を見つけようとする。」「17. 話し合いの場を持とうとする。」などの項目に因子負荷量が高かった。そのため『話し合い』と命名した。
第2因子は「10. 自分の意見や考えより相手の意見や考えに同調する。」「5. 相手の言うことは正しいと思う。」「13. 相手の気持ちを察してそれに沿うようにふるまう。」などの項目に高い因子負荷量がみられた。そのため『同調』と命名した。
第3因子は「14. 自分の意見を相手に通そうとする。」「11. 強い態度に出る。」「6. 相手を責める。」の3項目に高い因子負荷量がみられた。そのため『一方的主張』と命名した。
第4因子は「15. はっきり言わずにほのめかす。」「12. 相手が切り出すのを待つ。」「16. 自分の意見は言わない。」などの項目に因子負荷量が高かった。そのため『回避』と命名した。
第5因子は「9. 相手に電話をかけたくなる。」「19. 電話をかけて話す。」の2項目であった。どちらも電話に関する項目であったため,『電話』と命名した。
そして,下位尺度である『話し合い』『同調』『一方的主張』『回避』『電話』の平均値と標準偏差を算出した。下位尺度ごとにCronbachのα係数を算出した結果,『話し合い』でα=.86,『同調』でα=.77,『一方的主張』でα=.80,『回避』でα=.62,『電話』でα=.89,であった。『回避』のみやや低い値だが,和田(2000)や立脇(2005)でも見出されている因子であるとともに,今後の分析に必要な概念のため,このまま使用することとする。
←back/next→