2.子どもの対人関係


2−1.子どもの対人関係の発達

  文部科学省(2009)は,『子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題』の中で,子どもの対人的な発達について報告している。
  小学校低学年の時期は,善悪の判断を大人の言うことを守る中で身につけていく。また,児童が社会性を十分に身につけることができないまま小学校に入学することにより,精神的にも不安定さをもち,周囲の児童との人間関係を上手く構築できず集団生活になじめないという問題も発生しやすい時期である。9歳以降の小学校高学年の時期には,物事を対象化して認識することができるようになることが言われており,発達の個人差も顕著になる。そのため,自己肯定感が低下しやすく,自尊感情の低下から劣等感を持ちやすい時期である。無藤・佐久間(2008)は,エリクソンの発達課題の児童期にあたる「勤勉性/劣等感」という心理的危機から,子どもは学校でのさまざまな活動を通して社会で必要とされている知識や技能を身につけていくものであるが,その中で達成感や喜びを味わう一方で劣等感を感じてしまう場合があるという。また,児童期には仲間から認められたいという欲求が強くなるため,友人からの評価は子どもの自己評価にも大きく影響すると述べている。

  



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