方法
1 調査対象
本研究の対象児童はX市立Y小学校A児(中学年)である。A児は特別支援学級に在籍しており,広汎性自閉症スペクトラムと知的障害の傾向が見られる。自己の意思を優先し感情的になる場面や教員や友人の話を聞くことができず,注意散漫な場面や活動についていけない場面などがよく見られる。
調査の対象とする場面は,対友人における自己表現場面とする。友人に対してどのように自分の意思や感情を表現し,友人とどのようなやりとりをしているのか,に焦点を当て観察を行う。
2 調査期間
調査期間は,一学期と二学期(5月〜12月)とし,週に1回,1限目から6限目まで,教育ボランティアとして学校活動に参加している時間に観察を行うものとする。
3 手続き
参与観察法にて研究を行う。観察により収集したエピソード(以下,ep)はSCATを用いて分析する。
また,交流学級担任や特別支援学級担任ら計3名に,振り返りシートによる子どもの行動変容についての評価を行ってもらう。「幼児の社会的スキル尺度」(中台・金山,2002)の「主張スキル」,「自己統制スキル」と「目標スキルの児童自己評定尺度」(藤枝・相川,2001)の「たのみ方」,「ことわり方」の項目を参考に作成し,5件法にて回答を求める。さらに各教員には,振り返りシートの自由記述欄やインタビューにより,A児の自己表現や対人関係についてどのように感じているか回答を求める。
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