総合考察
本研究では,小学校中学年の発達障害をもつ児童を対象に,友人に対して,自己表現を行っている場面に焦点を当て,子どもの自己表現がどのように変容していくのか検討することを目的とした。本田ら(2015),織部(2016)を参考に以下の三段階のプロセスを仮定し,あわせて自己表現を育てる具体的な支援の手立てついて想定した。さらに自分の考えや気持ちを伝えられることと仲間関係の関連についてもあわせて検討していった。
第一段階:「自己表現」,「強みの自己理解」が低い。
この段階では,自分の気持ちを理解する必要性がある。支援者が子どもの気持ちを受容し「今わからなくて困っているんだね。」「ちょっとイライラしているんだね。」などと気持ちを言葉にして伝えることや「一緒にやってみよう」といたわりや励ましの声をかける指示を繰り返し,自分の気持ちを理解することを目標とする。
第二段階:「自己肯定感」が高く,「対人積極性」が低い。
この段階では,自己肯定感が高く自分の感情を優先し,他者と交わることが少なくなることが予想される。受容と指示をする中でも,「こういうふうに言ってみよう」「○○と言うと伝わるよ」というように適切な自己表現はどのようなものかを共に考え,他者に目を向けさせていくことを目標とする。
第三段階:「強みの自己理解」,「対人積極性」が高い。
この段階では,援助要請行為を行いやすい段階であるが,自分の気持ちを上手く相手に伝えることや適切な場面で援助を求められるようになることには課題が残ることが予想される。「あの子は○○しているよ」と声をかけ他者の言動を観察することや仲間との対人関係の中で,自分から伝えることやどのように伝えるのか理解していくことを目標とする。
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