4.特別支援教育での取り組み
4−2.支援員や教育ボランティアの導入
学校における発達障害をもつ子どもの支援には,特別支援学級の担任,交流学級の担任など教員による支援に加え,近年,教育ボランティアや特別支援教育支援員が教育の現場に取り入れられている。平成15年から「特別支援教育体制推進事業」を全都道府県教育委員会に対して委嘱し,各推進地域を中心に全国で体制の整備がなされつつある。また,平成19年から各教育委員会により任命された「特別支援教育支援員」(以下,支援員)の活用も始まり(文部科学省,2007),その効果が期待されている。
小野里・永田(2012)は支援員が子どもの言語表出を促すことによる支援の成果について実践事例をもとに検討している。研究対象となった子どもは,自発的・機能的な言語使用が少なく,援助を求めることができないといった課題を抱えていた。さらに,担任,学級全体が親和的な環境であったことから,行動全般が受け身であった。対象児童に対して,支援員が適切な場面での援助要請や意思,要求などの言語表出を促す支援を行った結果,援助要請に関する言語使用が増えるなどの変化が見られたことを報告している。小野里・永田(2013)の実践から,構造化されていない場面,週に一回という頻度であっても,支援員が教師と連携しながら意図的な関わりを行うことが,言語使用をはじめとした子どもの自己表現に影響を与えることが示唆された。
そこで,本研究では小学校中学年の発達障害をもつ子どもを対象に,教育ボランティアとして意図的に関わることが,子どもの自己表現にどのような影響を与えるかについて検討することを目的とする。また小野里・永田(2012)では示されていなかった,自分の考えや気持ちを伝えられることと仲間関係の関連についてもあわせて検討していく。
←back/next→