3.ロールレタリング


3−4. ロールレタリングの振り返り

 森上・松岡・坂手(2002)は,ロールレタリングを中学校の学級活動に導入し,中学生の他者への気づきや思いやりの効果について明らかにすることを目的とし,肯定的感情の高群・低群とロールレタリング実施後の内省報告との関連について検討した。その結果,肯定的感情高群は相手の気持ちや思いの理解,相手との会話が増えた,気持ちがすっきりしたという項目において高い得点が見られた。佐瀬(2015)は,ロールレタリングの振り返り表(福島, 2005)をロールレタリングの効果の測定のために扱い,振り返り得点が平均値+標準偏差以上の者は効果・高群,平均値+標準偏差以下の者は効果・低群に分け,各群の往信後,返信後の内省報告を比較した。その結果,ロールレタリングによる効果を多く享受している者は,返信において,「人とのつながりへの気づき」「自己肯定」「他者の視点への気づき」「未来への意欲向上」に関する内省報告が挙がっていることを報告している。

 ロールレタリングの活動を通して,想定受取人からの受容を認知し,普段の自分とは異なる視点から自己を振り返ることを実感することができれば,ロールレタリングの効果を十分に享受し,精神的健康の促進が期待出来ると考える。



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