19.将来の夢と活動志向理由についての分類
19-1.将来の夢のカテゴリー分類
将来の夢に関して、ドリームマップ授業中に描かれた将来の夢を分類した。本研究では将来の夢を秋田(2013)の「思わず、ワクワクすること!動き出したくなること」という定義を使用する為、将来の夢において職業を重視するのではなく、その職業を形容するキャッチコピーが重要であると判断した。
この判断に基づき、将来の夢を小分類にカテゴライズし、その後いくつかの小分類をまとめ、大分類として分類した。その結果、小分類を13カテゴリーに分類し、大分類を5つのカテゴリーに分類ことができた(Table 4参照)。特に、小分類の13カテゴリーについては、ドリームマップ授業における将来の夢が明確に得られたと考えられる。一般社団法人ドリームマップ授業普及協会(2015)はドリームマップで描かれた夢の一例を紹介しているが、「読んだ人が笑顔になれて夢をもってもらえるような本をかく作家」や「自然の魅力を知って貰える、生き物昆虫関係の仕事」などの将来の夢もこの分類に分けることができる為、十分な分類ができたと考えられる。
小カテゴリー〈世界有名〉〈日本有名〉〈有名〉などは、他人から認められたいや、いろんな人に知ってほしいという思いが込められた将来の夢であることは共通するが、世界一と日本一とでは大きく意味合いが違い、ただ有名になることも大きく違う事から、このように分類できたと考えられる。また、〈憧れ〉についても、人から憧れられるという評価を受けたいと考える事から、これらを大カテゴリー【他者評価】としてまとめる事ができ、他者からの評価や立場によって成就するタイプの将来の夢があることが分かった。
小カテゴリー〈周囲尊敬〉は、周囲に尊敬のまなざしを持たせる様な影響を与えていることを夢見ているものでカテゴリーにした。〈周囲援助〉は、誰かに何かをしたいという思いの込められた将来の夢で分類されたと考えられる。〈周囲援助(対動物)〉は、人よりも動物に目を向けた将来の夢が多かったことから、このように分類できたと考えられる。ペットに関して何かしらを行うという類の夢は、飼い主の為に何かをしているという意味にも取れるが、ペットが主体で話が進む将来の夢は、人を主体とした将来の夢とは別々で考える事ができる為、分けて考えるべきである。〈笑顔〉については、人を笑顔にしたいという「笑顔」をキーワードで分類された。これらを大カテゴリー【他者影響】としてまとめることができ、人に何かを行うというタイプの将来の夢があることが分かった。
小カテゴリー〈自己実現〉は、自分が行いたい行動や、やりたいことが中心の将来の夢で分類され、自分の目標達成に動くような夢であった。〈個人本意〉は、〈自己実現〉よりもより、自分自身のみについて考慮された夢であり、達成する内容も、自己実現よりも抽象的な内容であった。これらを大カテゴリー【自己】としてまとめることができ、これまでの【他者評価】【他者影響】と違い、他者との関わりがあまりないような将来の夢があることが分かった。
小カテゴリー〈固有名詞〉は、サッカー選手のメッシや、ロナウドなどの人物などの固有名詞が入っている将来の夢を分類した。具体的ではあるが、自分の将来についての発想が自由なものとは言えず、しっかりとビジョンを思い描けていないことが考えられる。これは、小カテゴリー〈キャッチコピーなし〉にも通ずるものであり、キャッチコピーが思いつくほど、将来の夢の具体的なビジョンが見えていないことになる。これらをまとめ、大カテゴリー【不明瞭】とした。
このように分類できたことは、自由な発想によって自分を良くしたいという意志のある将来の夢を、ドリームマップ授業によって考えさせることができたからではないかと考えられる。盛満(2011)や中村(2006)の指摘のように、職業に捉われたりや自己を向上させる意識が欠けていると、自由な発想が妨げられ、目標を持てていない状態になってしまう。ドリームマップの作成は将来の夢のみを考えるだけでなく、キャッチコピーも考える事で、職業のみに捉われて考えるよりも多様な夢を描くことができ、子ども一人一人の個性が溢れるものになっており、ドリームマップ授業によって、多様な価値観が反映される将来の夢を描くことができると考えられる。
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