2. キャリア教育ドリームマップ授業
2-6. ドリームマップ授業で想定される効果
さて、ドリームマップ授業を受講した人にとって、どんな効果があるのだろうか。一般社団法人ドリームマップ普及協会(2015)によると、ドリームマップ授業の前後での「生き抜く態度尺度(CRAS)」(坂柳,2015)と「児童用キャリア発達測定尺度」(吉川,2007)を使った効果測定の結果が示されている。「生き抜く態度尺度」は不透明な時代でもたくましく生き抜くことができる「生き抜く力」を測定する為の尺度であり、自己肯定感、他者肯定感、関係づくり、楽観的思考、将来の展望の5つの下位尺度からなっている。また。児童用キャリア発達測定尺度は、1人1人の個性や特徴を個人の生き方として統合していく、キャリア発達を測定する為の尺度であり、好奇心・探究、自己統制・計画、重要な人物の存在、時間的展望、自己概念、情報活用、興味・関心の7つの下位尺度からなっている。この二つの尺度を使用し、被験者内の比較調査を行ったところ、小学校で自己肯定感,他者肯定感,楽観的思考,将来の展望において,中学校で自己肯定感,他者肯定感,将来の展望において授業前よりも授業後の得点が高くなったという結果が得られている。しかし、ドリームマップを取り扱った研究は少ない。ドリームマップが普及する為には学術的な知見が多く必要であり、今後さらなる研究を進めていく必要があると考える。
また、1限目から6限目を通して、副産物的に様々な部分に成長がみられると考えられ、ドリームマップ普及協会が挙げている力の他にも、上昇する能力や態度があるのではないだろうか。筆者はこれらの力の育成を通して、ドリームマップ授業の受講者は、自己効力感や楽観性、自己評価感情が変化しているのではと考える。
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