ももいろクローバーZに関する分析
次に,「ももいろクローバーZ」(以下「「ももクロ」」と表記)に関する分析について結果を記述する。基本的に前述の「SMAP」と分析方法等はすべて同様である。
1.記述統計量および因子分析と信頼性分析
各下位尺度の記述統計をTable25に示す。
1-1.グループの印象についての分析
「ももクロ」に関する集団としての印象を測定するためにSD法による印象評定を行った。SD法の形容詞対20項目について因子構造を調べるために,主因子法,プロマックス回転により因子分析を行った。下位尺度ごとに信頼性係数を算出し,その結果,複数因子にまたがって負荷量が高かった4項目(「2.単純な−変化のある」「14.つまらない−魅力的な」「17.印象の薄い−印象的な」「20.子どもっぽい−大人っぽい」)については削除し,因子の解釈可能性などから2因子解を採用した(Table26)。
第1因子は「13.重苦しい−軽快な」「12.おとなしい−活発な」「3.親しみのない−親しみのある」などの項目に因子負荷量が高くなっていた。そのほかにも,暖かい,圧迫感のない,快適な,特徴のある,調和的な,柔らかい,といった形容詞が抽出されたため,『フレッシュさ』と命名した。
第2因子は「9.小さい−大きい」「5.こぢんまりとした−スケール感のある」「4.うっとうしい−さわやかな」などの項目に因子負荷量が高かった。そのほかにも,好ましい,力強い,雰囲気のある,可愛い,といった形容詞が抽出されたため,『無邪気』と命名した。
そして,下位尺度である『フレッシュさ』『無邪気』の平均値と標準偏差を算出した。下位尺度ごとにCronbachのα係数を算出した結果,『フレッシュさ』ではα=.926,『無邪気』ではα=.862,と十分な値がみられた。
2.記述統計量およびt検定
各下位尺度得点の記述統計量をTable27とTable28に示す。
2-1.集団評定値と個別平均の差の検討
各下位尺度の得点の集団評定値(集団として評定された値)と個別平均(メンバー個人の評定値の平均)の差について検討するため,集団としての「ももクロ全体」の評定値とメンバー5人の得点の総和の平均値との間で対応のあるt検定を行った(Table29)これは,「ももクロ全体」の印象と,各メンバーの得点を平均したものが,同じような数字になるのかどうかを調べる目的で行った分析である。
その結果,『フレッシュさ』(t(59)=5.356 p<.05),『無邪気』(t(59)=3.587 p<.05)で統計的に有意な差が認められ,メンバー5人の得点の総和の平均値より,集団としての「ももクロ」のほうが有意に高い得点を示していた。
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