2.集団としての印象とメンバー5人それぞれの印象との関連


2-1.集団としてのイメージとメンバーの印象の総和の差について
各下位尺度の得点の集団平均と個別平均の差について検討するため,集団としての「SMAP」(=「SMAP全体」)とメンバー5人の得点の総和の平均値との間で対応のあるt検定を行った。

その結果『スケール特徴』『明るさ』が,集団としての「SMAP全体」とメンバー5人の得点の総和の平均値との間で有意な差が見られた。『スケール特徴』『明るさ』のいずれの下位尺度でも集団としての「SMAP全体」の方がメンバー5人の得点の総和の平均値より高い得点を示した。また「ももクロ」においても同様にt検定を行ったところ,『フレッシュさ』『無邪気』の両項目で集団としての「ももクロ全体」の方がメンバー5人の得点の総和の平均値より高い得点を示した。これは大変興味深い結果である。

このことから,人々は集団について捉えるとき,単なるメンバーの印象の総和または平均として見ているのではなく,「集団全体」として一つのイメージを形成しながら捉えていると推察される。アイドルグループに限って言えば,「箱推し」「グループ推し」という言葉が近年よく使われる。「箱推し」「グループ推し」とは,メンバー一人を応援するのではなく,集団としてアイドルグループに対して,その良さを見出し,グループ全体を応援することであり,このような応援の仕方があることからも,集団が単なる個々の集まりとしてではなく,一つの集団として何か魅力を発しているといえるだろう。



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