4-4.活動評価と『調査対象者におけるグループの好感度』の関係
質問紙の設問9のグループの活動評価の8項目をそれぞれ独立した下位尺度として扱い検討を行った。認知項目の1下位尺度『調査対象者におけるグループの好感度』との下位尺度間相関検討したところ,「SMAP」,「ももクロ」ともに9つの下位尺度は互いに有意な正の相関を示した。このことから,集団についての好意や認知度に伴って,集団の魅力に関して肯定的であったり,受容していたり,正当に評価していると推察する。
4-5.活動評価と『調査対象者におけるグループの好感度』の関係における男女差
上記の分析と同様に,男女差の検討を行うために,グループの活動評価項目についてt検定を行った。その結果「SMAP」,「ももクロ」ともにすべての項目において男女の得点差は有意ではなかった。
「SMAP」については「バラエティー番組への出演」「CM活動」「音楽活動」,「ももクロ」については「音楽活動」「LIVE活動」「バラエティー番組への出演」が高い得点を示していた。
4-6.活動評価と『調査対象者におけるグループの好感度』の関係における年齢差
上記の分析と同様に,年齢差の検討を行うために,活動評価項目についてt検定を行った。その結果,「SMAP」において「奉仕活動」(t(120)=-2.86 p<.05)で,25歳以下より26歳以上の方が有意に高い得点を示していた。他の項目については,年齢の得点差は有意ではなかった。
このことから,まず,「SMAP」はメンバーの平均年齢が44歳であるため,若い世代(25歳以下)より同世代(26歳以上)の高年齢層の方が得点が高くなった可能性が考えられる。また,全国の20歳以上の男女を対象にした,アサヒグループホールディングスによるボランティア活動への関心についての調査()によると,最近では学生時代に学校やサークルを通じて,ボランティアを経験することが多くなっている背景があり,「過去,参加(主宰含む)したことがある」という声は20代では実に44.1%を数え,ボランティア経験のある若者が目立ったと述べている。しかし一方で「現在,参加(主宰)している」という声は20代で3.9%,30代で5.6%,40代では12.2%と急増し,さらに70代以上では25.0%に達することから,年齢とともにボランティア活動への参加意欲の高さがうかがえると結果を明らかにしている。
そのため,「奉仕活動」についての認知,評価は26歳以上の高年齢層の方が得点が高くなった可能性が考えられる。さらに,「SMAP」は,奉仕活動に関するアナウンスを解散まで20年続いた冠番組『SMAP×SMAP』やメンバーが個人で受け持つラジオ放送内で行うことが多かった。しかし,NHK放送文化研究所の調査「日本人とテレビ」によれば,2015年の調査で「テレビをほとんど,まったく見ない」層は20代で16%にまで上り,前回調査の2010年と比べ,倍増したことを明らかにしており,テレビやラジオといったメディアは近年,20代以下の世代よりも30代以降の層をターゲットにいている傾向がある。そのため,「SMAP」が奉仕活動について触れている場面を見る機会が,26歳以上の高年齢層の方が得点が高くなった可能性も考えられる。
また,「ももクロ」では「音楽活動」(t(120)=3.43 p<.05)「バラエティー番組への出演」(t(120)=-2.93 p<.05)「TVドラマへの出演」(t(120)=-2.04 p<.05)「映画への出演」(t(120)=-2.76 p<.05)「奉仕活動」(t(120)=-2.04 p<.05)において, 26歳以上より25歳以下の方が有意に高い得点を示していた。「ももクロ」についてはこの5つの活動の認知評価に年齢差があった,というよりは,残りの活動に関してどの世代においてもまだ認知度が低い,と考える方が妥当であると考える。その中でも上記5件に関しては,「ももクロ」と同年齢層である25歳以下の層の認知は高まってきているという結果であるといえるのではないだろうか。
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