2.本研究で取り上げる集団について


 一口に集団といっても,その規模や様態,内容や目的など,実に様々である。社会生活上,自分自身が所属する多数の集団があるが,本研究では,集団に対する魅力要因を検討するにあたり,自分自身は属さない集団を対象とする。すなわち,自分と集団の間には特段の直接的な関係性がなく,あくまでも第三者的な立場でターゲット集団を評価するという前提で考える。いわゆるチームスポーツの選手集団や芸能分野におけるグループ活動をしている集団を認知する過程について検討するということである。
 
 その中でも今回は,老若男女問わず認知性が極めて高いこと,集団魅力要因構造が多岐に渡ると考えられること,かなり長い期間継続して集団活動が認知されていることといった条件を基に,アイドルグループの「SMAP」と「ももいろクローバーZ」について扱うこととする。両集団は,前者は男性グループとして,後者は女性グループとして,これらを選んだ。両集団の共通点としては,@全盛期は5人組(「SMAP」は解散しており「ももクロ」は現在4人組)であること,Aメンバーの入れ替えがないこと(それぞれ脱退あり。また前者は既に解散済み),Bリーダーがいること,である。以上のことから両集団は,集団の構造がよく似ていると言える。さらにC国立競技場での初単独公演(「ももクロ」は女性グループ初単独公演)を成功させており,実力,知名度共に高いことも挙げられる。
 
改めて,この2つのアイドルグループは,メンバー入れ替えのない5人からなるグループ(「SMAP」は当初6名,「ももクロ」は当初6名,現在4名)で,これまでに数々の爆発的なヒットを生み,メインの音楽活動の他にも多方面で活動をしている(していた)。そのような安定的な活動の背景には,絶大な社会的な支持がある(あった)わけで,それらはまさにグループとしての魅力であると考えられる。一方でメンバーそれぞれの魅力も確かにあると言える。その一方で,メンバーが合わさったときの魅力はメンバーの個別的な魅力要因とは異なるものがあるのではないかとも考えている。  



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