1. 各教師の認知について


1−7.教師用RCRT(D教師)

 D教師がどのような視点から子どもたちを捉えているかということを明らかにするために教師用RCRTを用いた分析を行った。教師用RCRTの結果を因子分析(主因子法・プロマックス回転)したところ,2つの因子が抽出され,D教師は2つの視点でZクラスの子どもたちを見ていることがわかった(Table8)。

 第1因子は,「わかりやすい・わかりにくい」,「ゆとりがある・ゆとりがない」「ゆったりしている・気むずかしい」,「おもしろい・のりが悪い」の4項目から構成された。この結果をD教師に示し,因子名をつけてもらったところ,「扱いやすい(指導しやすい)・扱いにくい(指導しやすい)」と名付けられた。
 第2因子は,「真面目・いい加減」の1項目から構成された。因子名は「真面目・いい加減」と名付けられた。

 D教師のZクラスの子どもたちを見ている視点を示すために,X軸に第1因子「扱いやすい(指導しやすい)・扱いにくい(指導しやすい)」,Y軸に第2因子「真面目・いい加減」をとり,それぞれの因子得点を基にZクラスの生徒をプロットした(Figure4)。なお,指導が難しいと感じる生徒を「難しい」,指導が難しいと感じない生徒を「難しくない」として示した。この図より,D教師は真面目で扱いにくい(指導しにくい)と捉えている生徒に対して指導が難しいと感じる傾向にあることがわかる。

  





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