1. 各教師の認知について
1-3. 教師用RCRT(B教師)
B教師がどのような視点から子どもたちを捉えているかということを,明らかにするために教師用RCRTを用いた分析を行った。教師用RCRTの結果を因子分析(主因子法・プロマックス回転)したところ,2つの因子が抽出され,B教師は2つの視点でZクラスの子どもたちを見ていることがわかった(Table4)。
第1因子は,「真面目で何事にも前向きに取り組む・いい加減」,「協力的・自分勝手」,「公正・ズルい」の3項目から構成された。この結果をB教師に示し,因子名をつけてもらったところ,「真面目で協力的・自分勝手」と名付けられた。
第2因子は,「こちらの意図したことが伝わる・こちらの意図したことが伝わりにくい」,「素直・我が強い」,「気配り・自己中心的」の3項目から構成された。同様にしてB教師に因子名をつけてもらったところ,「素直で他者への配慮ができる・自己中心的」と名付けられた。
B教師のZクラスの子どもたちを見ている視点を示すために,X軸に第1因子「真面目で協力的・自分勝手」,Y軸に第2因子「素直で他者への配慮ができる・自己中心的」をとり,それぞれの因子得点を基にZクラスの生徒をプロットした(Figure2)。なお,指導が難しいと感じる生徒を「難しい」,指導が難しいと感じない生徒を「難しくない」として示した。この図より,B教師は真面目で協力的で,素直で他者への配慮ができると捉えている生徒に対して指導が難しいと感じない傾向にあることがわかる。また,自己中心的と捉えている生徒に対して,比較的指導が難しいと感じていることがわかる。

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