1. 各教師の認知について
1-5. 教師用RCRT(C教師)
C教師がどのような視点から子どもたちを捉えているかということを,明らかにするために教師用RCRTを用いた分析を行った。教師用RCRTの結果を因子分析(主因子法・プロマックス回転)したところ,2つの因子が抽出され,C教師は2つの視点でZクラスの子どもたちを捉えていることがわかった(Table6)。
第1因子は,「威圧的・寄り添う」,「注意されることに抵抗がある・聞く耳を持っている」,「気分屋・おだやか」,「やらなくてはいけないことをきちんとする・手を抜く」の4項目から構成された。この結果をC教師に示し,因子名をつけてもらったところ,「自己中心的・自己中心的ではない」と名付けられた。
第2因子は,「自信家・自信がない」,「自分の勉強の目標が明確・勉強に対しての意欲がない」の2項目から構成された。同様にしてC教師に因子名をつけてもらったところ,「ポジティブ・ネガティブ」と名付けられた。
C教師のZクラスの子どもたちを見る視点を示すために,X軸に第1因子「自己中心的・自己中心的ではない」,Y軸に第2因子「ポジティブ・ネガティブ」をとり,それぞれの因子得点を基にZクラスの生徒をプロットした(Figure3)。なお,指導が難しいと感じる生徒を「難しい」,指導が難しいと感じない生徒を「難しくない」として示した。この図より,C教師は比較的幅広い域に「指導が難しい生徒」と「指導が難しいと感じない生徒」が位置していることがわかる。

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