3.各教師の信念・過去の指導経験・教師間連携について
3−6. C教師について
C教師は真摯な姿勢で生徒と関係づくりを行う必要があるという信念をもっていると考えられる。また,生徒理解に努めるため,他教師との連携も積極的に行っていると示唆され,学校適応援助体制充実の指標得点も比較的高くなっていた。中井・庄司(2009)は,過去の対人関係において,「教師からの受容体験」「教師からの承認体験」「教師との親密な関わり経験」を経験している類型の生徒が,その他の類型の生徒に比べて,教師の信頼感の得点が高い傾向にあることを示していた。このように,C教師は積極的に生徒と関わることで,信頼関係を構築しながら,指導を行っていると考えられる。
C教師は責任をもった行動を常に生徒に示すことで,生徒に不信感をもたせず,生徒に指導が伝わるようにしていると思われる。ビリーフ尺度項目の中でも,「教師はその指示によって,生徒に規律ある行動をさせる必要がある。」「他の教師から非難されないような学級経営をすべきである。」と考え,「教師の知識が不確かなことを生徒に知られることは教育上好ましくない。」とは考えていないことから,教師として責任をもち,規律正しい行動をするべきだと考えていることがわかった。また「生徒が学校の規則を守ることは社会性の育成につながる。」「生徒は考えていることを発言し,行動で示すことが望ましい。」「生徒は学校で進んで授業や活動に参加する態度が望ましい。」と考えているように,生徒に対しても授業や日常場面で規律正しい行動を求めていることがわかった。また公の場での指導で「毅然とした態度」で問題行動に対応したことが,指導対象となる問題生徒への直接的な効果だけでなく,周囲の生徒の教師への信頼を高めるという効果があるという報告もされている(加藤・大久保,2009)。C教師は責任をもった行動を生徒に示すことで,生徒との信頼関係づくりを促していると示唆された。
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