5.教師の信念
教師の認知について考えるために,教師の行動の傾向や行動のための意思決定に反映される(藤木,2000)教師の信念についても取り上げたい。
河村・田上(1997)によると,信念とは教師の認知的枠組みの1つであり,感情を持つときや行動を起こすときに持つ思考様式であって,具体的には価値観から構成された文章記述で示される。また藤木(2000)は,教師が教室の実践の中で獲得した知識や,実践を通して教師の中で深く考え,意味づけることで得られた知識が教師の専門知識であり,信念であるとしている。さらに,黒羽(2005)は個人的経験,教師の知識,学校経験・教授経験と,教師の教育信念との関連について整理しており,教師の教育信念を「教師が潜在的に有する教育実践に対する活力溢れる精神活動」であるとしている。また教室での行動選択の根底に存在する「教師の信念」が,教授・学習活動とその対象である子どもの捉え方に規定していると述べている。
このように,教師の信念は指導に結びつくことが予想される。そこで本研究では,教師の子ども認知と信念との関連について取り上げ考えていく。
←back/next→