2.問題を抱える子ども
2−3. 不登校
文部科学省(1998)は不登校の定義を「何らかの心理的,情緒的,身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいはしたくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち,病気や経済的な理由による者を除いたもの」としている。
文部科学省(2018)の「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると,小・中学校における不登校児童生徒数は144031人(前年度133683人)であり,不登校児童生徒の割合は1.5%(前年度1.3%)である。不登校の要因を「本人に係る要因」で見ると,「『不安』の傾向がある」では,「家庭に係る状況(31.2%)」,「いじめを除く友人関係をめぐる問題(28.2%)」が多い。「『無気力』の傾向がある」では,「家庭に係る状況(45.0%)」,「学業の不振(28.9%)」が多い。「学校における人間関係に課題を抱えている」では,「いじめを除く友人関係をめぐる問題(69.7%)」が突出している。「『あそび・非行』の傾向がある」では,「家庭に係る状況(44.4%)」,「学校のきまり等をめぐる問題(30.2%)」が多い。
これらのように,不登校の子どもは増えておりその要因も複雑である。「いじめを除く友人関係をめぐる」という理由での不登校も多く,教師が子どもの不登校の理由を発見しにくいことも予想される。
2−4. 支援が必要な子ども
文部科学省(2012)の「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」によると,通常学級に在籍し,学習面又は行動面で著しい困難を示す児童は約6.5%となっているが,これに該当する子ども以外にも,通常の学級には教育的支援を必要とする子どもがいる可能性があると述べられている。また6.5%の子どものうち,通級による指導を受けていない子どもの割合が93.3%という結果も出ている。伊藤・梅田・柘植・石坂・玉木(2015)は「『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』の補足調査の結果からみた通級指導教室の役割と課題」の調査において,調査対象者である小学校で82.7%,中学校で76.6%の教員が6.5%より多く在籍していると捉えていると述べている。インタビュー調査において,小学校では「診断はないが手のかかる子どもが何人かいる」,「通級までは至っていないが自閉症かと思われる子どもの数が多い」等の回答があった。中学校では「小学校からの引き継ぎで対象として挙がっていなくても,気になる生徒がいる」,「教科によって違う。社会科で支援が必要なくても,数学科では支援が必要という生徒もいる」等の回答があり,6.5%に該当するほど著しく困難を示してはいないが,気になる子どもの数は少なくないということが理由として明らかにされている。
このように,発達障害の診断をされなくても,クラスの中には発達障害の可能性が考えられる子どもや,何かしらに困難を抱える子どもが存在することが明らかになっている。クラスの中で上手に過ごすことができずに困っている子どもや,学習に苦手さを感じ自信が持てずにいる子どもが存在することが考えられるだろう。
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