【研究1】
検定教科書本文に関する考察
5−2.クロス集計の結果について
コーディングした各コードに対してクロス集計を行った。結果は,お母さん系のコードについては,1年生から6年生まで幅広く,かつ頻繁に登場していた。このこともまた「ワンオペ育児」であるため母親の登場数が必然的に多くなっていると言える。
自分系のコードについても同様に,1年生から6年生まで幅広く,かつ頻繁に登場しているが,これについては前述の通り,視点人物を担うことが多いからであると解釈できる。
お父さん系・おばあちゃん系のコードについては,1年生から6年生まで登場しているが,頻度はさほど多くないことが読み取れる。お父さん系に関しては,他の学年より,6年生で顕著に登場することが見て取れた。父親の存在が教科書本文でどのように描かれているかは,共起ネットワークを用いた分析より,外で働くことであると推察されている。よって,勤労と言う社会的責任とつながるキーワードを扱うため,「国家・社会の一員としての自覚を育てることを重視」した指導を行う必要がある高学年(文部科学省,2015)に顕著に登場していると思われる。
これらのことから,家族を構成する人物においては,登場回数や登場頻度に大きな差があるといえる。また,登場頻度が最も多く,登場範囲も幅広かった母親に関しては,家庭に常に存在する,家族の象徴たる存在として書かれていることがうかがえる。以上のことから,家族愛の前提となる家族そのものについて,家族構成や役割について,偏りのある提示がなされていると言える。
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