【問題と目的】
2.道徳


2−5.道徳科の懸念

 では,道徳科そのものに関する懸念とはどのようなものだろうか。
 船越(2017)は,道徳の教科化に関する問題点として,「国家が『正しい道徳』を上から定め,それを到達目標として明確化して,指導することは,子どもや国民の『内心の自由』や精神的自由権を侵害することになるのではないか」と述べている。
 また,本田(2018)は,「特別の教科 道徳」で扱われる検定教科書は『私たちの道徳』をモデルとして作成されるため,先に教材本について挙げた批判は,検定教科書にも通じるものであると述べている。さらに,道徳科の評価基準について着目し,評価基準が設定されることで「道徳的に望ましいパフォーマンスの可視化」が行われ,授業実践の方向性を一方向に定めてしまうと批判している。
 これらのことから,「特別の教科 道徳」についても,価値をどのように扱うかという点が議論されるポイントであると言える。



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