【問題と目的】
3.「価値の明確化」


3−4.「価値の明確化」への批判

 「価値の明確化」は,その性質から相対主義であると揶揄されることがある。しかし,Rathsらは「価値の明確化」は相対主義と明確に区別されるものだと主張している。西村(2012)によると,「価値の明確化」は相対主義ではなく,「相対的絶対」という立場に位置付けられるものである。相対主義は,考えや価値観は個人によってそれぞれ異なるという立場をとるが,「相対的絶対」は相対主義を前提に,各々が「自分にとって何が本当のことなのかを真剣に追及していく立場」である。
 つまり,「価値の明確化」は,個人の考えや価値観は人それぞれであると尊重するだけではなく,その上で自分にとって重要な価値観を追求することを目指した理論であると言える。



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