1.ほめについての概要
1−5.ほめられる場面
先にも述べたように,人が他者からほめられる場面もさまざまである。熊取谷(1986)は,おもに用いられるほめの種類を分類しており,「才能・知識・技術」「容姿・服装・所持品」「努力」「外見」「その他」といったカテゴリーに分けている。また林(2003)もほめ言葉について分類をし,それぞれ「雰囲気・性格ホメ」「性格・内面ホメ」「行動ホメ」「外見ホメ」の4パターンを挙げている。これを参考にして林・二宮(2004)は,女子学生のほめに使われる言語表現の使用頻度とほめられたときの好感度についてアンケート調査を行っており,「優しい」とほめられたときの好感度が全体でもっとも高く,続いて「楽しい」「話しやすい」など雰囲気・性格ホメに分類される言葉によるほめの好感度が高かったという結果になったことを明らかにしている。これに加えて,林・林(2005)は,男子学生においても「優しい」とほめられたときが最も好感度が高かったことを明らかにしている。先行研究では以上の分類がなされていたが,これらを参考とし,本研究では人の内面についてのほめである「性格」場面と,行動へのほめであるである「努力」場面の2場面にしぼって検討していくこととする。
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