2.対人コミュニケーションにおける相手との関係性について
2−2. 親しさについて
澤口・渋谷(2014)は,「ほめは日常的な親しい人同士のやりとり」であることを述べているが,ほめが相手との関係を構築するうえでも必要とされているように,親しくない人同士でも行われているといえる。これより,人間関係においては,立場の違いだけではなく,その相手との親しさによっても言葉の受けとり方が異なってくるように考えられる。たとえば目上の立場である教員からほめられるとしても,何回も関わっており話しやすい教員からほめられるときと,まったく面識のない教員からほめられるときとは印象が異なると考えられる。
相手との立場関係によるほめのとらえ方のちがいを述べたが,古川(2003)はほめに関して,「社会的な力関係の上下よりも,相手との親しさが優先される」可能性を示唆しており,また山口(2015)は,「目上に対するほめの言語行為は,親密な関係がある相手でなければ失礼な行為と受け取られる」と述べている。これらのことより,親しくないか否かでほめられたときの言葉の受け取り方が異なってくると考えられる。
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