考察


2. 認知的評価と対人ストレスコーピングとの関連


 分析の結果,認知的評価の「重要性」を高く評価する人ほど,「ポジティブ関係コーピング」を取りやすく,「ネガティブ関係コーピング」及び「解決先送りコーピング」を取りにくいことが明らかとなった。友人との対人ストレスを,自分にとって重要なものであると感じる人ほど,相手との関わりを避けたり,あるいは時間のままに過ぎていくことを期待し何もしないという対処法略は取らず,積極的に相手のことを知ろうと努力をしたり,相手と会話をする機会を作ろうとしたりして対人ストレス状況に対処しているのだろうと考察される。これより仮説Bは一部支持されたと言える。

 「脅威性」を高く評価する人ほど対人ストレスコーピング の「ネガティブ関係コーピング」を取りやすく,逆に「ポジティブ関係コーピング」を取りにくいことが明らかになった。すなわち,友人との対人ストレスが自分にとって脅威で負担になると評価する人は,わざわざストレス状況にある相手と積極的に関わりにいったり,歩み寄ったりするようなことは避け,逆に意識的に関わりを断ったり,たとえ関わらなければならなくなったとしても,表面上の付き合いをしたりすることでストレス状況に対処していると考えられる。これにより,仮説Cは一部支持されたと言える。

 「対処効力感」からは,対人ストレスコーピングのどの下位尺度にも有意なパスは見られなかった。よって仮説Dは支持されなかった。



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