考察


2. 過去のとらえ方について

2−4. 過去のとらえ方タイプの検討

 過去のとらえ方の特徴ごとに群分けを行うために,過去のとらえ方尺度の下位尺度得点をもとに最遠隣法を用いてクラスタ分析を行った。その結果,3つのクラスタが得られた。これらの3つのクラスタの過去のとらえ方の特徴を明らかにするため,3つのクラスタを独立変数,過去のとらえ方尺度の下位尺度得点を従属変数とした一元配置分散分析を行った。その結果,各クラスタは異なる過去のとらえ方の特徴を持っており,石川(2014)において見出された過去のとらえ方タイプと似たような結果が得られた。それぞれの過去のとらえ方の特徴から,クラスタ1を「過去軽視群」,クラスタ2を「統合群」,クラスタ3を「とらわれ群」と命名した。

 「過去軽視群」は一番人数の多い群であり,72名の被験者が含まれた。特徴としては,統合群よりも過去に対して否定的な態度や認識を持っているにも関わらず,統合群と同じくらい過去を受け入れ,過去をわりきっていることがあげられる。石川(2014)でも一番人数が多い群として過去を一番わりきっている群があげられていた。日潟・齋藤(2007)においても,「自分の過去や現在,未来に対してポジティブにもネガティブにも感じていない」群が一番人数が多いという結果が出ており,それらの群と似た傾向にあると考えられる。

 「統合群」は,二番目に人数が多い群であり,41名の被験者が含まれた。特徴としては,他の二群よりも連続的なとらえができており,過去を受け入れられていることがあげられる。また過去に対して否定的な態度や認識もあまり持っておらず,過去をわりきることもできているという特徴も持っていた。

 「とらわれ群」は,一番人数が少ない群であり,12名の被験者が含まれた。特徴としては,過去に対して否定的な態度や認識を強く持っており,受け入れることもわりきることもあまりできていないことがあげられる。つまり,過去を過去として受け入れることができず,過去に対して否定的なイメージをもち,それにとらわれていると考えられる。



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