6.本研究の目的
本研究では,大学生の過去のとらえ方の違いによって,現在の行動や認識にどのような違いがあるのかについての検討を行う。過去のとらえ方に関して,本研究においては石川(2013)の過去のとらえ方尺度を使用する。この尺度は,36項目からなっており,過去のとらえ方を複数の側面から把握できると考えたため,使用する事とした。また,過去のとらえ方の特徴をより明らかにするために,過去を想起する頻度・過去を想起することが好きかどうかについても尋ねることとした。
そして,本研究では現在の行動や認識として,社会人基礎力と幸せへの動機づけを用いることとする。社会人基礎力は,普段どのような行動をとっていて,どのような力を持っているのかを測るために用いる。社会人基礎力に関して,本研究においては北島他(2011)の社会人基礎力尺度を使用する。この尺度は,36項目からなっており,「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力が含まれている。今回の研究では,チームで協力するといった力よりも,個人の行動や能力について見たいと考えたため,「多様な人々とともに,目標に向けて協力する力」である「チームで働く力」を除いた18項目を使用することとした。
幸せへの動機づけは,現在何を目的として生きているのかを測るために用いる。幸せへの動機づけに関して,本研究においては浅野他(2014)の日本版HEMA尺度を用いる。この尺度は11項目からなっており,「快楽主義」と「幸福主義」の両方を測ることができるため,本研究において使用することとした。
以上のことから,本研究において,大学生の過去のとらえ方を知り,過去のとらえ方の違いによって現在の行動や認識にどのような違いがあるのかを検討する。現在の行動や認識として,幸せへの動機づけと社会人基礎力を扱い,何を目的として現在を生きているのか,普段どのような行動をとっているのかを見ていくこととする。
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