5.主観的幸福感


5−1.主観的幸福感について
 どのような場面で幸福であり,どのような場面で不幸であるかを判断するのは,周囲の人間ではなくその人自身である。曽我部・本村(2010)によると,社会心理的自己効力意識は主観的幸福感と関連しており,「社会心理的自己効力意識」の下位尺度因子としての「生活資源の豊かさ」「人間関係における親密性」「自他評価の一致」「将来社会への期待」は,いずれも青年期における大学生の「主観的幸福感」と有意に関連があると言える。人生の満足度の判断自体は,個人の価値観によって判断してもらい,研究者の価値観(何が幸福なのか)を押し付けないという方法による研究は,主観的幸福感(Subjective Well-Being: SWB)の研究と呼ばれる(大石, 2009)。つまり主観的幸福感とは,どの程度幸福感(生活満足感)を感じているか,直接本人の判断により評価するものである。

5−2.SNS利用におけるこれまでの主観的幸福感に関する研究
 SNS利用と幸福感に関する研究には,アメリカのペンシルベニア大学で行われた,Brian A.Primackの「SNSが精神に及ぼす影響に関する研究」がある。研究結果として,SNSの利用頻度が高いほど抑うつ状態を増進させ,幸福感を下げることにつながるといったものがあった(Chowdhury,2016)。実験の結果として,SNSに触れる時間を減らした場合に孤独感や抑うつ状態が軽減されたといったこともあり,SNSを利用する際の他者との比較や他者への意識などによって引き起こされるSNS疲れが幸福感に影響したと考えられる。本研究では,SNSを利用することによってSNS疲れを引き起こしやすいのはどのようなパーソナリティーの人であるのか,またどのようなパーソナリティーを持った人がSNSを使うと主観的幸福感が下がる傾向があるのかについて検討していく。



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