2.各尺度の関連について
2-1.自尊感情(事前事後)と特性の関連について
「自尊感情(事前)」は,向上心の下位尺度「意欲」「やる気」「負けん気」との間に正の相関が見られた。このことは,「自尊感情(事前)」が高い人は「意欲」「やる気」「負けん気」の特性得点が高いことを示唆している。自尊感情が高いということは,自分自身に価値を感じて,集団内で積極的に行動できるというように,ポジティブに捉えることもできるが,ネガティブに捉えると,自分ばかりを高く評価してしまい,他者を評価し尊敬するということが欠如していることも考えられる。特に今回の分析で明らかとなった結果として,世代交代前の自尊感情が高い人は向上心に関する特性である「意欲」「やる気」「負けん気」が高いということが分かったが,このことは,今後の活動に期待や希望を持ち,自分がこの集団にとって役に立つ存在であると認識できていると捉えられるため,自尊感情を高く保つことが活動への意欲ややる気につながるのではないかと考えられる。下村(2011)は,自尊感情の回復には,将来目標の明確化,他者からの受容,認知の変容,長所への焦点化,生活面での規律の回復の有効性を論じている。そのため,集団で活動をしていく中でも,集団内での目標を明確に持っておくこと,集団の仲間同士での支え合いや言葉がけ,物事をポジティブに捉える力などが重要であると考えられる。
また,「自尊感情(事後)」は,向上心の下位尺度「やる気」「負けん気」との間に正の相関が見られた。このことは「自尊感情(事後)」が高い人は「やる気」「負けん気」の特性得点が高いことを示唆している。世代交代後ということは,自分が所属する学年がその集団内の中心となる学年となる事を指す。こうしたことから,世代交代後の自尊感情が高い人は,「先輩は引退してしまったけど,次は私たちでこの集団を引っ張っていこう」とやる気を持って行動したり,「もっともっといいチームにしていこう」「先輩以上の成績を残そう」と負けん気を持って活動することができると考えられる。
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