8. 本研究の対象
本研究では,中学生の時期を対象とする。渡部・新井(2008)は大学生を対象に回想法を用いて親の期待との葛藤が強かった時期を検討し,中高生が最も葛藤を感じた時期であることを明らかにしている。中学生は友人や家族といった周りからの影響が増加する時期といわれている。また自己主張性が増す時期でもある(Greenber,1984;Steinberg & Silverberg,1986)。中学生は,自分自身の「こうなりたい」という気持ちと,周りの「こうなってほしい」という期待の間で葛藤を感じやすい年ごろであると言えるため,青年前期であるこの時期を対象とする。しかし,現在中学生である生徒に担任教師について聞くことは,適切ではないと考える。目の前にいる担任教師について,マイナスなことは答えにくく,事実とは異なることが回答される恐れがある。また,教師について聞くことは生徒によっては負担になる可能性がある。そして,現在の状況について十分に整理できていない場合も考えられる。そのため,本研究では大学生を対象に回想法を用いて,中学生のときどのように感じていたかについて把握していく。中学生のころから時間が経っているため,より客観的に冷静な判断で質問紙に回答できると考える。
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