4.ダウン症児のきょうだい

ダウン症児の母親の障害受容過程をみるにあたって,ダウン症児のきょうだいについての視点も重要であると考える。ダウン症児の母親はダウン症についてどのようにきょうだいに伝えるか悩み,ダウン症児のきょうだいもある程度発達した段階で,自分のきょうだいがダウン症であるということに気づき始める。ダウン症児の母親もダウン症児のきょうだいも,それぞれ複雑な思いで葛藤しながらダウン症児と関わる。

岩崎・海蔵寺(2007)は,実際に担当した事例をあげながら軽度発達障害児をもつ親に対してどのような支援が必要か検討している。そこでは,障害児のきょうだいに,いつ,どこまで障害を知らせるかが親にとって非常に難しい問題であることを述べている。しかし上記の語りより,他のきょうだいの子どもたちの将来を心配する中でも,一緒に遊んだり喧嘩したりする姿をみて,ダウン症児の母親は子どもたちを“普通のきょうだい”と捉えていることが示された。


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