1.青年期の友人関係について
青年期の対人関係について土井(2009)は,家庭での親との関係,学校での教師の関係,友人関係,先輩・後輩関係,バイト関係,恋人関係など多様化してきていると指摘している。また,吉岡・高橋(2010)は,高校生と大学生での友人関係の築き方の違いについて言及している。高校生の場合は,クラスや部活動といったある程度固定化されたメンバーが集まる空間があり,そのメンバーと日々を過ごす中で気の合う友人を見つけることが多いと述べている。一方大学生になると履修する講義が学生によって異なり,サークルやバイトなどの活動時間帯によって人間関係も流動的になると述べている。これより,大学生は高校生までと比べ対人関係の幅が広がる一方,特定の友人と長時間いる機会が減少するため気の合う友人を見つけることが難しくなる傾向にあると考えられる。また,吉岡・高橋(2010)は友人とうまくつきあえていないような気がする,気を遣いすぎて疲れてしまう,仲は良いが本音が言えないなど,友人関係に悩みを抱いている大学生も少なくないと述べている。これは,大学生の友人関係が高校生までより広くなるために生じてくるものではないかと考えられる。これらより,大学生は時に悩みを抱えながらも様々な友人と上手く関係を築こうと日々奮闘していることがわかる。
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