総合考察
3. 自分に良いことがあったとき,友人に対して悪感情を感じた時の対応についての回答内容と自尊感情との関連について
自分に良いことがあった時,また,友人に対して悪感情を感じた時の対応についての回答内容と自尊感情との関連についても検討した。
自分に良いことがあった時では,『全員に話す』群が状態自尊感情,特性自尊感情ともに高かった。これは,両方の自尊感情が高いことで本来の自分にも友人関係における自分にも自信があるため,自分に起こった良いこと=自分の価値としてとらえることができ,またそれは他者にも伝えて喜んでもらうべきことであると純粋に考えていることが,このような行動につながる要因なのではないかと考えられる。
一方,友人に対して悪感情を感じた時では,良いことがあった時とは対照的に『全員に話さない』群がもっとも自尊感情が高く,『全員に話す』群が最も自尊感情が低かった。これより,『全員に話さない』群の人は両方の自尊感情が高いことで,自分にとってネガティブなことが起こっても,友人に言う前に自分で解消できるのではないかと考えられる。また,状態自尊感情が高いことで『悪いことは言わない方が友人と楽しく円満に過ごせる』と考えた上でこのような行動をとっている可能性も示唆される。一方,『全員に話す』群は両方の自尊感情が低いことで,自分が感じた悪感情を自分の中で処理しきれず,友人に話すことで解消しようとする傾向にあるのではないかと考えられる。
←back/next→