【結果】
7.パーソナリティについて
7-3.活動経験の質とフローパーソナリティ尺度の関連について
ESM調査の経験の質と日常生活におけるフローパーソナリティ尺度,疎外感尺度,心理的well-beingの尺度の関係性を明らかにするために尺度間でPearsonの積率相関係数を算出した。また,活動での経験の質は,ESM調査で得た二日間のデータの平均値を用いた。その結果は,Table28-29に示した。
7-3-1.活動の経験の質における尺度内相関
活動での経験の質において尺度内のPearsonの積率相関係数を算出した。その結果,挑戦レベル,能力レベル,充実度,集中度,楽しさ,コントロール感の間に多くの正の相関が見られた(Table28参照)。しかし,満足度においては,挑戦レベル,能力レベル,充実度,集中度,楽しさ,コントロール感との間に負の相関が見られた(r=-.252, p<.01; r=-.256, p<.01; r=-.322, p<.01; r=-.495, p<.01; r=-.300, p<.01; r=-.258, p<.01)。また,無我の程度はコントロール感の間には正の相関(r=.197, p<.05),他者無意識の程度は挑戦レベルと能力レベルとの間に負の相関が見られた(r=-.423.;p<.01,r=-.220.;p<.05)。
これらより,挑戦レベルや能力レベルが高いほど,充実度,集中度,楽しさ,コントロール感が高まり,挑戦レベルや能力レベルが低いほど満足度が高まることが示された。また,コントロール感が高いほど自己のことを意識しておらず,他者のことを意識しているほど挑戦レベルや能力レベルが高くなると考えられる。
7-3-2.活動の経験の質とフローパーソナリティ尺度の尺度間相関
活動の経験の質とフローパーソナリティ尺度の尺度間においてPearsonの積率相関係数を算出した。その結果,挑戦レベルとK自信,K挑戦,S挑戦との間(r=.257, p<.05; r=.234, p<.05; r=.227, p<.05),能力レベルとS自信の間(r=.274, p<.01),コントロール感とS自信の間(r=.267, p<.01)にそれぞれ正の相関が見られた。その他の経験の質とフローパーソナリティ尺度との間には相関が見られなかった(Table29参照)。
これらより,活動の種類に限らず高い挑戦を経験しやすい人は,実際の挑戦レベルも高くなることが示された。また,社交的活動で自信を経験しやすい人は,能力レベルとコントロール感が実際の活動で高いことが示された。
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