【考察】

 1.フローパーソナリティについて

 

 1-4.心理的well-beingについて   

 1-4-2.心理的well-beingと活動種類について  

 心理的well-beingと活動経験の比率の関係性を明らかにするためにPearsonの積率相関係数を算出した(Table15参照)。その結果,環境制御力と身体的活動の比率に負の相関が見られた。環境制御力とは雑な周囲の環境を統制できる有能さの感覚のことである。そして,社交的活動が多いほど環境制御力が高いということは,他者と関わる活動が多いほど自分の周りの環境をコントロールする力が高いということである。これは,身体的活動に比べて社交的活動の方が周囲を統制する力が必要とされるからであろう。  

 また,有意性は見られなかったものの,積極的な他者関係,人格的成長,自己受容においては社交的活動と,自律性と人生における目的は身体的活動と関係が見られることが示唆された。つまり,他者や周囲との関係性に関わる心理的well-being項目は社交的活動と,目的や自律性に関わる自己を律する必要のある心理的well-being項目は身体的活動と関係が見られそうである。そして,フロー率と相関が見られなかったことを踏まえるとフローパーソナリティと心理的well-beingよりも,疎外感や自己知覚と同様に,活動の種類の方が心理的well-beingに関係している可能性が示唆された。



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