【問題と目的】
2.日常生活とフローの関係性
2-3.マイクロフローと深いフロー
チクセントミハイ(2010)は,受動的なレジャーはモチベーションもあり,かなり幸福な活動である一方,ほとんど精神集中を伴わず,めったにフローを生み出すことはないと述べている。また,社交(交流そのもの以外にはほとんど先行きの目的を持たぬ人と話すこと)は,一般的に非常にポジティブだが,めったに深い精神集中を伴わない(チクセントミハイ,2010)。これらのことから,身体的フローと社交的フローを比較すると社交的フローを多く経験する人は深いフローを経験しづらいといえる。つまり,フロー体験(マイクロフロー体験)から,深いフロー体験へと移ることが少ないだろう。そして,自己への満足感や充足感が少なくなる。これらを踏まえると,精神的健康(心理的Well-being)は身体的フローに比べて高くはならないだろう。従って,身体的フローはフローの連続体上で,深いフローへと入りやすいが,社交的フローはフローの連続体上にあるものの,深いフローへとは結びつきにくい型であるといえる。
←back/next→