【問題と目的】

4.心理的well-being

 
 

 フロー理論は近年,ポジティブ心理学の主要な理論として注目されている(浅川,2012)。その中でも,フローがもたらす日常生活の質の向上を測る上で,心理的well-beingが指標として用いられることが多い。また,フローは日々の生活の質を高める経験というばかりではなく,人間のポジティブな発達を促進するドライビングフォースとなり得る経験としても注目されている(浅川,2012)。  

 心理的well-beingとは,人が心理的・社会的に最適な状態で機能していることであり,すなわち,精神的に健康で,社会の一員としてやるべきことをし,健全に生きていることを意味している(浅川,2012)。また,西尾・石川(2016)によると,Well-beingとは最適な機能や経験のことであり,ヘッドニックなウェルビーング(hedonic Well-being)とユーダイモニックなウェルビーイング(eudaimonic Well-being)に大別される。ヘドニックなウェルビーイング(主観的ウェルビーイング)とは,快楽主義とも表現されポジティブ感情や喜びを感じ苦痛や不快感がない状態のことであり,ユーダイモニックなウェルビーイングとは人間の潜在能力が十分に機能している状態のことである。また,ユーダイモニックなウェルビーングは,「積極的な他者関係」「人格的成長」「自律性」「環境制御力」「人生における目的」「自己受容」6つの次元で構成されている。  



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