4.音楽速度と楽観性が作業に及ぼす影響
音楽速度と楽観性が作業にどのように影響しているのかについて検討するため,音楽速度と楽観性を独立変数として,従属変数に作業認識,課題評定,課題態度,作業時間とした2要因分散分析を行った.それぞれの従属変数については以下の通りである.作業認識とは,「もう一度行いたい」等の作業に対してどのように感じたかについて測定したものであり,課題評定は,課題の出来の評価得点のことであり,いずれも課題後すぐに測定したものである.また,課題態度とは,課題を行っている参加者の様子を観察し,「確認しているか」「どこから塗り始めているか」「塗る速さ」等を得点化したものである.
結果はTable5〜22に示す.
4-1作業認識について
作業認識において,「もう一度行いたい」「無意味」「作業感」において,数値が低いと「全く当てはまらない」,数値が大きいと「非常によく当てはまる」という結果である.また,「速さと正確さのどちらを重視したか」においては,数値が大きいと「正確さ」,数値が低いと「速さ」を重視したという結果である.
Table5 もう一度行いたいかについて
Table6 無意味について
Table7 作業感について
Table8 速さと正確さについて
Table9 体感時間について
作業認識においてはいずれも有意な結果は得られなかった.有意な結果は得られなかったが,平均値を比較することで以下のことがわかる.
速さと正確さのどちらを重視するかにおいて,テンポの速い音楽群の楽観性高群のみマイナスの結果がみられた.また,テンポの速い音楽群の楽観性低群が他の群と比べると最も平均値が高いため,正確さを重視した人が速かったという様子が見られた.また,体感時間について,遅い音楽群が他の音楽群よりも平均値が高く,テンポの速い音楽群が最も低いという様子が見られた.
4-2課題評定について
これらの課題評定については,すきまの数・はみ出した数・塗る方向・境界線・塗り方・色むらについての6個の観点から評定を行った.それぞれの基準を独自で選出し,第三者の視点から基準に合わせて評価したものを平均した数値を使用することとした.
まず,「すきま」はすきまが少ないものを1,多いと感じるものを9として9段階で評価した.「はみ出した数」は図形の線から少しでもはみ出しているものを全て数えそれを数値とした.「塗る方向」については一定の方向に塗られているかについての評価であり,全て一定の方向で塗られている場合1,方向が揃っておらず四方八方に塗られている場合6として6段階で評価した.「境界線」について境界線が線に沿って綺麗に引けているか評価するものであり,1が最もきれいに線が引かれているものであり,6は線が引かれていないものとして6段階で評価した.これも数値が大きくなるほど雑という評価である.「塗り方」については塗る方向と類似しているが,1本の線を書いているとしても隅から隅まで1本で描かれているのか,途切れ途切れで一本の線になっているのか,はたまた,格子状に塗っているのか塗りたくっているのかについて評価したものである.1本の線で書かれているものを1として,先ほど述べた順に雑であるという評価とし,7段階で評価した.最後に「色むら」についてはムラが少ない場合1,ムラが多くなるにつれ数値を大きくすることとし,5段階で評価した.
Table10 すきまについて
Table11 はみ出した数 について
Table12 塗る方向について
Table13 境界線について
Table14 塗り方について
Table15 色むらについて
分析の結果,境界線が綺麗に描けているかにおいて,音楽速度による主効果が見られた(F(2,59)=3.401,p<.05).これについて多重比較の結果から,遅い音楽がかかっているときよりも速い音楽がかかっている時の方が境界線に関する得点が高いことが示された.また,有意な結果は得られなかったが,平均値を比較すると以下のようであった.
すきまがどの程度あったかについて評価したすきま得点の平均値を比べると,テンポの速い音楽群において,他の音楽群よりもすきまが多くなっている様子が見られた.また,はみ出した数においては,遅い音楽群が最も少ない様子が見られた.
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