考察


4. 非行為後悔の意味づけ過程における外傷後成長前の熟考が外傷後成長へ与える影響


 非行為後悔を感じ始めてからの経過期間と外傷後成長前の意図的熟考・侵入的熟考が外傷後成長に与える影響を, 後悔を感じ始めてからの経過期間で統制して検討するため, 共分散構造分析を行った. その結果, 「外傷後成長前の意図的熟考」から「外傷後成長」へ有意な正の影響が見られた. しかし, 「外傷後成長直前の侵入的熟考」, 「経過期間」から「外傷後成長」への有意な影響は見られなかった. つまり, 外傷後成長を遂げる前, 後悔を感じてから数週間以上後に意図的熟考を行うほど外傷後成長を遂げられるということである. よって, 仮説Cは支持された. 上條・湯川(2016)では明らかにされなかった, 外傷後成長を遂げる前の意味づけ過程について明らかにすることが出来た. また, 「後悔を感じ始めてからの経過期間」から「外傷後成長」への有意な影響は見られなかったため, 考察3.で「後悔直後の意図的熟考」について考察した際と同様に, 外傷後成長を遂げるためには, 時間の経過に任せるのではなく, 後悔を感じ始めてから数週間以上立った後の, 外傷後成長を遂げる前の時点においても, 後悔した出来事について意図的に熟考を行うことが有効であろう.


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