考察


3. 非行為後悔の意味づけ過程における後悔を感じ始めてからの経過期間と後悔直後の熟考が外傷後成長前の熟考へ与える影響


 非行為後悔を感じ始めてからの経過期間と後悔直後の意図的熟考と侵入的熟考が外傷後成長へ及ぼす影響を検討するために, 後悔を感じ始めてからの経過期間と後悔直後の意図的熟考・侵入的熟考を独立変数, 外傷後成長を従属変数として, 共分散構造分析を行った. その結果, 「後悔直後の意図的熟考」から「外傷後成長」へ有意な正の影響が見られた. しかし, 「後悔直後の侵入的熟考」から「外傷後成長」への有意な影響は見られなかった. つまり, 「後悔直後の意図的熟考」の頻度が高いほど, 「外傷後成長」を遂げることが出来るということである. よってこれは, 仮説Bと反する結果となった. この結果は, 上條・湯川(2016)でもストレスフルな経験直後の意図的熟考が外傷後成長に正の影響を与えていたことと一致している. また, 「後悔を感じ始めてからの経過期間」から「外傷後成長」への有意な影響は見られなかったため, 後悔に対して意味づけを行い, 外傷後成長を遂げるためには, 時間の経過に任せれば良いのではなく, 非行為後悔を感じ始めた直後から後悔した出来事について意図的に熟考することが有効であるということが明らかにされた. 2.と同様, 最も後悔した出来事と一時的に距離を置きながら, 後悔した直後に無理なく意図的熟考を行えていたか, 後悔した出来事が, 距離を置かなくとも無理なく意図的熟考を行える衝撃であった可能性が考えられる.


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