5. 集団の構造
集団の構造においては,公式的構造(formal structure)と非公式的構造(informal structure)がある。公式的構造とは,組織体の中で地位・役割構造が形成されたものをいう。公式的構造の例として職場集団が挙げられる。職場には,部や課,係といった組織上の単位があり,それぞれに部長,課長,係長など職位や地位が存在し,それぞれの地位にはどのような行動をなすべきかという役割が定められている。また,地位・役割構造は個人の特性や人と人との心理学的関係には関係なく,組織の制度的な視点から作られているものである(狩野,1989)。一方で,非公式的構造とは,自発的な人と人との内発性によって形成される構造を指す。具体的には,仲の良い仲間集団などが挙げられる。狩野(1989)は,非公式的構造は好意や信頼感など心理学的関係によって形成された関係であると述べている。本研究では,公式的構造をなす集団をフォーマル集団,非公式的構造をなす集団をインフォーマル集団として検討する。
集団の構造は集団ごとに明確に区別することはできず,集団の特性や場面によって公式的な面と非公式的な面のどちらがより強く現れるかの違いはあるものの,どのような集団においても,この両者は並存している(狩野,1989)。したがって本研究では,質問紙調査の回答を求める際にフォーマル集団とインフォーマル集団の説明文を提示し,調査対象者自身に集団構造の判断をしてもらう。
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