5.本研究の目的
5. 本研究の目的
親との愛着は,幼少期だけでなく青年期にも大きく影響し,対人関係における基盤として作用している。本研究では,親への愛着が友人関係における愛他行動に与える影響について媒介変数も含め検討していく。媒介変数は,愛着とも関連があり(今野・小川,2012),愛他行動とも関連がある(登張,2000),共感性を取り上げていく。永井(2020)は愛着が利他的行動に与える影響について共感性を媒介変数として検討しているが,ここで取り上げられた共感性は情動的共感性のみである。愛着は認知的共感性にも関連していることから(今野・小川,2012),共感性を情動的共感性・認知的共感性の多次元共感性で検討することが重要であると考える。よって,親への愛着がどのような共感性に影響を与え,友人関係における愛他行動にどのような影響を与えるのかについて検討することを目的とする。
次に,性差と同性の親・異性の親との関連についても検討していく。森下・三原(2015)は,女性において母親への愛着の高さは直接的に自己受容や異性不安を高めるのに対し,父親への愛着の高さは不安定な内的作業モデルを緩和して自己受容を高めたり,対人不安・異性不安低下させたりすることを明らかにした。辻道ほか(2017)においては女性において母親の受容性が共感性と向社会的行動にポジティブな影響を与えるが,父親の受容性は共感性には影響しないことが示唆されている。男性においては両親の受容性が高いほど共感性が高くなることが明らかにされた。これらのように,男女によって同性の親・異性の親への愛着が共感性や愛他行動に与える影響に差が見られるのではないかと考える。よって,本研究では男女によって同性の親・異性の親への愛着に違いについて検討することを目的とする。
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