4.達成動機と痩身願望
4-1.達成動機の定義
Eliot&Church(1997)は達成目標を規定するひとつの要因として,達成動機(achievement motives)をあげている。達成動機とは,有能さに関連する行動を活性化させたり,ポジティブやネガティブな可能性に個人を適応させたりする領域固有の動機づけの傾性(disposition)のことであり,これには成功を収めることへの願望を表す「達成欲求(hope of success)」と,失敗を避けることへの願望を表す「失敗恐怖(fear of failure)」の2つが位置づけられていると光浪(2010)によって定義づけられている。
4-2.達成動機と目標志向性
光浪(2010)は,達成欲求が熟達目標を規定し,失敗恐怖が遂行回避目標を規定していることを明らかにし,学習場面において達成動機が目標志向性に影響を与えることを報告している。
4-3.ダイエット行動における達成動機
馬場・菅原(2000)は痩身願望を「自己の体重を減少させたり,体型をスリム化しようとする欲求であり,食事制限,薬物,エステなど様々なダイエット行動を動機づける心理的要因」と定義している。痩身願望がダイエット行動を動機づけているため,ダイエットにおける達成動機は痩身願望としてとらえることができる。本研究では痩身願望が目標志向性を介して,ダイエット行動に与える影響について検討する。
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