ストレス反応


 1.9.1 ストレッサーとストレス反応について

 現代社会はストレスに充ち溢れている。ストレスには様々なものがあるが、例を挙げると、授業に対してやる気が起きない、授業がわからないなどの学業に関係するストレス(玉瀬,松田 2002)、職業に関係するストレス(若林 2002)、緊急事態に対するストレス(兵藤・森野 1999)、病気に関するストレスなど現代社会において、その要因は枚挙にいとまがない。中でも青年にとって対人関係に関するストレスイベントは避けることのできないイベントで、ストレスフルなイベントの中でも比較的大きな割合を占めている(加藤 2001)。その中でも大学生について、黒山・下田(2010)は大学生について、対人的な刺激をストレスに感じ、思うように自分の気持ちを他者に表現することが難しく、その機会を避けて過ごす学生が多いと指摘している。このようにストレッサーを避ける傾向にある青年・大学生であるが、岡安・嶋田・丹羽・森・矢富(1992)は、対人関係におけるストレスについて、対人ストレスイベントによって生じた対人関係ストレッサーは、経験頻度が多ければ多いほど、大きくなるということを明らかにしている。ストレッサーが知覚されると、比較的すぐに惹起されるようにイライラ、不安などのストレス反応の中核をなす反応、つまり、情動的反応が現れ、情動的反応に続いて、話や行動に落ち着きがないとか人と話すことが煩わしいなどの認知面や行動面の反応が自覚されるようになる(尾関,1993)。 ストレッサーに対応しないと、怒りや不安が情動的反応として現れ、それに続いて、落ち着きが無くなる、人と関わることが煩わしくなるなどの認知・行動反応が起こるのである。このことは、対人関係ストレッサーにも当てはまると考えられ、さらに、ストレッサーの経験頻度が多くなればなるほど、対人関係ストレッサーが大きくなり、現れるストレス反応も大きくなると考えられる。大学生は他者と関わることでアイデンティティが確立される重要な時期であるため、このようなストレッサーには早急に対応することが求められることがわかる。これらのことからもどのような変数がストレッサーに対応でき、ストレス反応の表出を減らすことができるかについての研究は非常に意義があると言える。



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