結果と考察


2.活用方法・活用感の特徴語の検討

 第2に,強みの種類による活用方法の違いを調べた(Figure4)。選択した生徒が多かった強みについて,「感謝」では,「お礼」「ありがとう」「言える」「手伝う」「教える」「助ける」といった言葉,「ユーモア」では,「笑わせる」「笑う」「面白い」「友だち」「休み」「話す」「緊張」といった言葉が集まった。その他に,「忍耐力」「向学心」では,「考える」「自分」「思う」「頑張る」といった言葉,「審美眼」では,「見る」「外」「きれい」,「リーダーシップ」では,「難しい」「注意」といった言葉が特徴語として抽出された。選択者の少なかった「慎み深さ」「チームワーク」「超越性」「創造性」といった強みは中央付近にまとまってみられた。「感謝」「親切心」「社会的知性」といった,人との関係性にまつわる強みはまとまってみられた。また,「忍耐力」「向学心」「熱意」といった自分の努力に関係する強みもまとまってみられた。その他に,「誠実さ」「公平さ」といった内容の似通った強みは,近くに位置してみられた。
 例えば,「感謝」の強みを選んだ生徒の活用方法では,感謝の気持ちを表す言葉や動作が,「ユーモア」の強みを選んだ生徒の活用方法では,笑いに関連する言葉が抽出されたことから,生徒たちは,選んだ強みに応じた活用方法をとっていたことが分かった。このことから,生徒たちは,自分の自覚した強みの内容を正しく理解し,活用できていたことが読み取れる。
 さらに,各強みの分布から,6つの領域とは異なる,強みの内容における関係性を読み取ることができた。これは,実際に強みを活用した生徒たちの活用方法の記述から,強みを活用する場面や場所,関わる人物,行動による関係の類似性,相違性によって分類されたものととらえることができる。



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