2.大学適応
大隅・小塩・小倉・渡邊・大崎・平石(2013)は大学適応を,「大学生活全般において満足し,適応していると感じる程度」と定義している。本研究でも大学適応を同様に定義する。
大学適応に関しての研究は数多く存在する。太田・甲村・児島(2008)は,大学1年生で自己表現スキルや居心地の良さが大学不適応感や学習意欲低下に影響を与えることを明らかにした。また,高下(2011)は,大学1年生は4月から7月の大学適応において健康状態は悪化・授業に対する意欲の低下がある一方,同時期に周囲にいる仲間への信頼感を持つことを報告している。また,大学適応について大学4年間の縦断的調査(水野,2018)から,1年生に大学不適応感は大きく変化し2年生からは変化が少ないことが明らかになっている。つまり,大学適応は1年生の間に大きく変化し,その間に大学への理想と不本意感や現実との折り合いをつけるプロセスが存在すると推察される。そこで本研究では,不本意入学者の受験から大学1年生の期間に特に焦点を当てて検討を行う。
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