4. どのような教師に対して援助要請を行うかについての検討
仮想的有能感が高い人が援助要請をする教師の特徴を検討するため,仮想的有能感の4類型(自尊型/全能型/萎縮型/仮想型)と適応的要請尺度と依存的要請尺度を平均値を基準に高群と低群に分け,それぞれの組み合わせたもの(HH/HL/LH/LL)を独立変数,教師認知尺度の下位尺度「受容・親近」,「自信・客観」,「怖さ」を従属変数として2要因分散分析を行った(Table8)。
その結果,教師認知尺度の下位尺度である「怖さ」で「仮想的有能感の4類型」と「適応的要請と依存的要請の組み合わせ」による主効果が5%水準でみられた(順にF(3,166)=3.108; p<.05, F(3,166)=.2.958; p<.05)(Table8)。多重比較の結果,仮想的有能感の低い自尊型,萎縮型が,仮想的有能感の高い全能型,仮想型よりも「怖さ」が5%水準で有意に高い結果が得られた(Table7,Figure1)。また,依存的要請をしない傾向にある「LL」「HL」の人が,依存的要請をする傾向にある「HH」「LH」の人よりも「怖さ」が5%水準で有意に高い結果が得られた(Table7,Figure2)。なお,いずれも交互作用及び「安心感」,「不信」への主効果はみられなかった。
←back/next→