結果と考察
3.各下位尺度の相関係数の算出
Big5性格特性を測る尺度である日本語版TIPI-Jと先延ばし意識特性尺度の各下位尺度において相関係数を算出した(Table6)。
その結果,Big5について,「開放性」は「外向性」に対して有意な正の相関がみられ(r=.321;p<.001),「外向性」は「協調性」に対して有意な正の相関がみられ(r=.225;p<.05),「協調性」は「神経症傾向」に対して有意な負の相関がみられた(r=-.217;p<.05)。
続いて先延ばし意識特性尺度について,「先延ばし後の否定的感情」は「先延ばし前の否定的感情」,「状況の楽観視」,「先延ばし中の否定的感情」に対して有意な正の相関がみられ(順にr=.589;p<.001,r=.452;p<.001,r=.408;p<.001),「計画性」に対して有意な負の相関がみられた(r=-.237;p<.01)。「先延ばし前の否定的感情」は「先延ばし中の肯定的感情」と「状況の楽観視」に対して有意な正の相関がみられ(順にr=.245;p<.01,r=.557;p<.001),「気分の切り替え」,に対して有意な負の相関がみられた(r=.192;p<.05)。「先延ばし中の肯定的感情」は「状況の楽観視」に対して有意な正の相関がみられ(r=.405;p<.001),「先延ばし中の否定的感情」に対して有意な負の相関がみられた(r=-.281;p<.01)。「気分の切り替え」は「計画性」に対して有意な正の相関がみられ(r=.275;p<.01),「状況の楽観視」に対して有意な負の相関がみられた(r=-.255;p<.01)。「状況の楽観視」は,「計画性」に対して有意な負の相関がみられた(r=-.420;p<.001)。「先延ばし中の否定的感情」は「計画性」に対して有意な正の相関がみられた(r=.204;p<.05)。
そしてBig5と先延ばし意識特性尺度との間について,Big5の「開放性」は先延ばし意識特性尺度の「計画性」に対して有意な正の相関がみられ(r=.192;p<.05),Big5の「外向性」は先延ばし意識特性尺度の「気分の切り替え」に対して有意な正の相関がみられ(r=.208;p<.05),Big5の「勤勉性」は先延ばし意識特性尺度の「気分の切り替え」,「計画性」に対して有意な正の相関がみられ,(順にr=.309;p<.001,r=.332;p<.001),「先延ばし後の否定的感情」,「先延ばし前の否定的感情」,「先延ばし中の肯定的感情」,「状況の楽観視」に対して有意な負の相関がみられた(順にr=-.228;p<.05,r=-.268;p<.01,r=.216;p<.05,r=-.515;p<.001)。Big5の「神経症傾向」は先延ばし意識特性尺度の「先延ばし後の否定的感情」,「先延ばし中の否定的感情」に対して有意な正の相関がみられた(順にr=.190;p<.05,r=.188;p<.05)。
また,課題着手日に関する質問において,課題の難易度,課題への興味,課題が占める成績評価の割合の3つの観点を組み合わせた,8パターンの課題の条件について,取り組み始めるのは14日前(課題が出された日),13〜10日前,9〜6日前,5〜2日前,1日前,0日前(課題提出日当日)のどのあたりになるか回答を求めた。数値化については,それぞれの中央値を得点とした。14日前を14,13〜10日前を11.5,9〜6日前を7.5,5〜2日前を3.5,1日前を1,0日前を0とした。TIPI-Jとレポート課題着手日に関する質問の各下位尺度において相関係数を算出した(Table7)。そして,先延ばし意識特性尺度とレポート課題着手日に関する質問の各下位尺度において相関係数を算出した(Table8)。
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