5.先延ばしの後続結果


 先延ばしを行った結果,学業成績の低下や学業不振などを含む個人のパフォーマンスや精神的健康に悪影響をもたらす可能性がある(小浜,2012)。推敲する時間が取れず質の悪いレポートを提出してしまったり,友だちや同僚の信用を損ねてしまったり,睡眠不足で体調を壊してしまったりするなどの影響が考えられる。また,まだ仕事や課題が終わっていない,あるいはとりあえず終わったけれど納得がいかない,評価が悪いかもしれないなどのストレスや抑うつ・不安などが高まるため,精神的にネガティブな影響を与え(林,2007),幸福感も低下することが示されている(Stead, Shanahan, & Neufeld, 2010)。

 このように先延ばしは,日常生活や学業生活において悪影響を及ぼしてしまうため,不適応な行動と考えられている。しかし先延ばしのひとつである計画的な先延ばしは,気晴らしとしての効果があったり,ストレスを軽減する機能を持ったりすると考えられている。(小浜,2012)よって,目標や計画を明確にして意図して行う先延ばしは気分が悪化せず,精神的適応を阻害しないため,先延ばしをやめさせるのではなく,先延ばしの最中に時間配分を考えさせたり,指導したりすることが不適応な先延ばしの改善に繋がるのではないかと考えられる。
 



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