4. 質問紙の分析
4-1. 実験群と統制群の比較
意思疎通度の各下位尺度平均得点を従属変数,実験群・統制群(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った(Table3)。
その結果, “相手の意見の理解” に群と事前事後の交互作用がみられたが(F(1,37)=5.605;p<.05)(Figure2),単純主効果はみられなかった。平均値は統制群の2回目が最も高かった。“会議の充実度”の事前事後要因に有意な主効果(F(1,37)=2.932;p<.05)がみられ,実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が高かった。“自身の意見の発信” “意見の受容感”には群要因, 事前事後要因の交互作用および主効果はみられなかった。
一般感情尺度の各下位尺度(PA,NA,CA)のそれぞれの平均得点を従属変数,実験群と統制群(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った。
その結果,交互作用はみられなかったが, PAには群要因と事前事後要因それぞれに主効果がみられた(群:F(1,37)=8.079;p<.01,事前事後:F(1,37)=9.610;p<.01)。実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が1回目よりも高かったが,1回目の平均値も2回目の平均値も実験群の方が高かった。また,NAとCAの2項目に事前事後の有意な主効果がみられた(否定的感情:F(1,37)=31.547;p<.001,安静:F(1,37)=16.988;p<.001)。NAは実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が下がり,CAは実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が上がった。
そして,会話満足度の各下位尺度(会話調整,会話集中,ぎこちない会話)のそれぞれの平均得点を従属変数,実験群と統制群(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った。
その結果,交互作用はみられなかったが,“会話集中”に群要因の主効果がみられ(F(1,37)=6.106;p<.05),実験群の2回目の平均値が最も高かった。“ぎこちない会話”には,事前事後の有意な主効果がみられ,(F(1,37)=10.473;p<.01)逆転項目のため,実験群,統制群の両群とも2回目で得点が高くなった。“会話調整”には群要因,事前事後要因の交互作用および主効果はみられなかった。
4-2. 男性と女性の比較
男女で差を比較するために,人数の多い実験群のみで分析を行った。意思疎通度の各項目の得点を従属変数,性別(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った(Table4)。
その結果,“会議の充実度”“自身の意見の発信” “相手の意見の理解” “意見の受容感”すべての項目において群要因,事前事後要因の交互作用および主効果はみられなかった。
次に,一般感情尺度の各下位尺度(PA,NA,CA)のそれぞれの平均得点を従属変数,実験群と性別(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った。
その結果, PAにおいては群要因と事前事後要因それぞれの主効果がみられ(群:F(1,28)=10.659;p<.01, 事前事後:F(1,28)=8.906;p<.01),実験群の2回目の平均値が最も高かった。“NA”においては事前事後の有意な主効果がみられ,(F(1,28)=23.913;p<.001)実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が低くなった。また,“CA”には群と事前事後の交互作用(F(1,28)=4.465;p<.05)(Figure3) ,事前事後の主効果(F(1,28)=12.992;p<.01)がみられた。
交互作用は単純主効果検定の結果,女性の場合において事前事後間に0.1%水準で有意差,事後の場合において性別間に5%水準で有意差が見られ,女性の方が男性より有意差が高かった。
会話満足度の各下位尺度(会話調整,会話集中,ぎこちない会話)のそれぞれの平均得点を従属変数,性別(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った。
その結果,交互作用はみられなかったが,”ぎこちない会話”にのみ,事前事後の有意な主効果がみられ(F(1,28)=15.336;p<.001),実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が1回目よりも高くなり,特に実験群の2回目の平均値が最も高かった。“会話調整””会話集中”には群要因,事前事後要因の交互作用および主効果はみられなかった。
4-3. 女性の実験群と女性の統制群の比較
男性参加者を集めることが困難であったため,女性の参加者のみで実験群と統制群の比較を行った。
意思疎通度の各項目の得点を従属変数,実験群と統制群(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った(Table5)。
その結果, “相手の意見の理解”に群要因と事前事後の交互作用がみられた(F(1,22)=4.958;p<.05)。単純主効果の検定の結果,事後の場合において群間に5%水準で有意差がみられ,統制群が実験群よりも平均値が高かった。また,“会議の充実度”の事前事後要因にのみ有意な主効果(F(1,22)=5.426;p<.05)がみられ,実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が高かった。“自身の意見の発信” “意見の受容感”には群要因,事前事後要因の交互作用および主効果はみられなかった。
一般感情尺度の各下位尺度(PA,NA,CA)のそれぞれの平均得点を従属変数,実験群と統制群(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った。
その結果,交互作用はみられなかったが, “PA”に群の有意な主効果(F(1,22)=6.944;p<.005)がみられ,1回目,2回目の平均値の両方とも実験群の平均値が統制群よりも高かった。また,”NA”と”CA”に事前事後の有意な主効果がみられ(NA:F(1,22)=23.48;p<.001,CA:F(1,22)=3.260;p<.001)),NAでは実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が下がり,CAでは実験群,統制群の両群とも2回目の平均値が上がった。
次に,会話満足度の各下位尺度(会話調整,会話集中,ぎこちない会話)のそれぞれの平均得点を従属変数,実験群と統制群(参加者間)と事前事後(参加者内)を独立変数として,2要因分散分析を行った。
その結果,交互作用はみられなかったが,”ぎこちない会話”にのみ,事前事後の有意な主効果がみられ(F(1,22)=21.874;p<.001),実験群,統制群の両群とも1回目よりも2回目の平均値が高かった。“会話調整””会話集中”には群要因,事前事後要因の交互作用および主効果はみられなかった。
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