4. 独立意識と孤独感について
自我同一性と孤独感の関係について,落合(1983)の孤独感類型判別尺度による孤独感タイプがA型の人よりもD型の人の方が自我同一性の確立程度が低い(後藤・松島2001),孤独感タイプA型の人よりもD型の人の方が同一性混乱の程度が高い(小林,2006)という研究結果がある.これは,孤独感タイプがA型の人は個別性を理解しておらず,理解的他者に融合した状態であるため,真の同一性ではなく,仮のものであるのに対して,D型の人は,個別性を理解しているため,等身大の自分に対しての自我同一性であるために低かったのだと考えられている.近年は特に,SNSの発達によって,いつでも誰かと繋がれるようになった一方で,真に一人でいられる時間を作ることが難しくなり,個別性の認識に影響が及んでいる可能性が考えられる.そのため,A型の人の割合や仮の同一性を持つ人の割合が増えていることが考えられる.また,吉山(1992)によると,孤独感タイプがD型の人は独立意識が高く,一人でいることに対して充実感を感じているため,不安感が低い.このことより,孤独感の持ち方や向き合い方により,不安の感じ方に差が出ることが分かる.
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